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練吉は眠気から覚めたやうに、
「うん」
「あら!」
「はン」
房一は男の前膝部をたゝいた。脚気でもない。心臓は弱つていた。単音でなく、微弱な重音があるので弁膜症の気味があるとも診られた。呼吸器に異状はなかつた。一応の診察を終ると、房一は患者の顔から、胴体にかけて、熱心に眺めた。皮膚は弛緩して、生気がなかつた。だが、その極端な貧血と一般的な衰弱とは典型的な寄生虫の症状らしいことにさつきから気づいていた。
「途中から帰つて来たんだよ」
と、大声で云ひ聞かせた。
「一体どうしたというのだ。」
と、舌ざはりの悪いものでも口にしたやうな調子で、練吉はぽつんと云つた。
「あれは何でせう、知吉さんといふ人は悪く云ふと娘をひつかけて相沢の家に入りこんだやうなもんでせう」
男は一歩下つた。
正文は顎をつき出しては一寸笑つて、ふむ、ふむ、とひとりでうなづいていた。
道平はそのまゝ夕食を招よばれて、ゆつくり腰を落ちつけていたが、夜ふけ近い頃になつて、ひよつこり
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