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「それとも、あれかね。やつぱり日露戦争のときみたいに、船で吉賀の先の浜へ上つてそれからやつて来るんかね」
「いや、たいしたことはないだらう、と思ふ。鼻血を出したからね。軽いとは思ふんだがどうも老としよりだから経過しだいでは副次症を起さんともかぎらんしね。そのへんのことが僕にはよく判らないんだ」
房一が道平を送つて行くことになつた。
「をかしな男だな」
鬼倉は一瞬、相手を地着きのごろか何かと思つたらしい、一種の殺気をひらめかした。
「やっぱりチブスで?」
と、小谷が云つた。
「君は昨日その九州から来た連中を赤山へ案内して行つたちふぢやないか」
そのとき、女房に命じて、温泉を加熱する装置を施してもいいか、ときかせると、
「随分早いのね」
云ひながら、ぽんと軽く下腹をたゝいてみせた。そして、微笑した、悪戯いたづらつ子のやうな目つきで、ぢつと房一の顔をのぞきこんだ。それは驚くほど巧みな打明けだつた。
「小倉組といふと、下の工事場の方ですな」
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