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と、徳次は叮寧にならうとして一種奇妙な言葉づかひになりながら、
「はあ!さう――ですね」
「いや、なに」
「あゝ、よからう。大賛成ですよ」
「あ、さうでしたな。一つ診ていたゞきませう」
盛子は時々半ば無意識に呟いた。
その直造の耳には、次のやうな言葉が響いて来た。
「何んにも訊かんといて下さい。ちよつと間違ひが起きたんやで、――それは、後でお話しますわ――とにかく、手当を頼みます」
間もなく彼は、こゝからよりもあの路からの方が、河原で一人で働いている自分をはるかに見つけ易いことに気づいた。瞬間彼は、この広い河原に自分の隠れこむ場所はないかと探すかのやうに、きよろきよろあたりを見まはした。だが、自転車の男は崖上の路に気をとられているのか、まだこちらに気がつかないやうだつた。徳次は下向きになつた。見まいとした。けれども、何かしら気になつて、顔を紐か何かで上うは向きにひつぱられるやうであつた。
「何でもないぢやないかね、君から聞いたとほりだ。心配することはないと思ふな」
と、房一はひとり言を云つた。
「さうですよ、ですが、何年ぶりでせう。これがもつと他の所だつたらおたがひ気がつかなかつたかもしれませんよ」
「なに、切れてるつて?」
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