貴方の見ているドメインは

ドメイン www.li8festory.info

このページについて

    「小倉組の連中が来たちふぢやないかね。ほんとうかね」

    「さあ、くはしいことは判りませんね」

    「さう、知つてる、知つてる」

    「芋の子」といふのが房一につけられた前からの綽名あだなであつた。それは小さく円く肥つた彼の身体の感じをよく現はしていたが、今ではそれを口にする人々の間に、或る納得しがたい性質、種族の異つた感じ、さういふ意味をいつとなく感じさせて来た。

    「あれですよ。半之丞の子と言うのは。」

    このポインタアの雑種は、房一の往診にはどこへでもついて来た。いゝ路づれだつた。

    徳次は指で真似をした。

    「相沢の先代が生きている間は知吉さんも手が出なかつたのさ。目の上の瘤がなくなつたから、いよいよ本性を出したといふところだらう」

    やつと、徳次は感心した。青島陥落はついこなひだのことで、その時は徳次も提灯ちやうちん行列に出たのである。

    「いゝえ、なんの。おれんとこへなんか。――あんたは忙しい身だもの」

    御大典とそれにつゞく奉祝日は瞬またゝくまに過ぎ去つた。

    「本当も本当でないもありやしませんよ。財産譲渡無効、その返還を請求したのだよ」

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 | 32 | 33 | 34 | 35 | 36 | 37 | 38 | 39 | 40