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「小倉組の連中が来たちふぢやないかね。ほんとうかね」
「さあ、くはしいことは判りませんね」
「さう、知つてる、知つてる」
「芋の子」といふのが房一につけられた前からの綽名あだなであつた。それは小さく円く肥つた彼の身体の感じをよく現はしていたが、今ではそれを口にする人々の間に、或る納得しがたい性質、種族の異つた感じ、さういふ意味をいつとなく感じさせて来た。
「あれですよ。半之丞の子と言うのは。」
このポインタアの雑種は、房一の往診にはどこへでもついて来た。いゝ路づれだつた。
徳次は指で真似をした。
「相沢の先代が生きている間は知吉さんも手が出なかつたのさ。目の上の瘤がなくなつたから、いよいよ本性を出したといふところだらう」
やつと、徳次は感心した。青島陥落はついこなひだのことで、その時は徳次も提灯ちやうちん行列に出たのである。
「いゝえ、なんの。おれんとこへなんか。――あんたは忙しい身だもの」
御大典とそれにつゞく奉祝日は瞬またゝくまに過ぎ去つた。
「本当も本当でないもありやしませんよ。財産譲渡無効、その返還を請求したのだよ」
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