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    「うむ、さうか。玄関のことか」

    「連れっ子をして行ったです。その子供がまたチブスになって、……」

    と、父親の顎のあたりに又目をつけた。

    徳次はしばらく考へていた。

    「うん、あの程度だと別に影響はないんだらう」

    年は五十過ぎ位、見るからに小柄な貧弱きはまる痩せつぽちだが、何となく自分の身体を大きく見せようと絶えず心を配つているらしい足の踏ん張り方をしていた。手足も、顔の皮膚もうすく日焼けがし、乾いて、骨にくつついていた。が、頭髪はそれとは反対に驚くほど真黒で、きちんと櫛目を入れて分けられ、鼻下にはやはり念入りに短く刈りこんだ漆黒の髭をはやしていた。それは何かちぐはぐな印象で、中農の地主にも見え、町役場の収入役のやうでもあり、又どこかに馬喰ばくらう臭いところもあつた。だが、一貫して現はれているのは、小柄の者がさうである場合特に目立つ、そして見る者の咽喉のあたりを痒かゆくさせるやうな、あの横柄わうへいさであつた。

    「小倉組といふと、下の工事場の方ですな」

    入るなり、

    「本日は、私ごとき者までお招きに預りまして」

    「まだなかなかでせう。永いこつてすよ」

    練吉と房一は、川沿ひの路を、肩を並べて自転車を走らせていた。

    「いや、どうも。恐縮です」

    並んで立つと、いきなり

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